
伝説の魔物退治の英雄、鍾馗は魔王九沙を倒した後、力尽きて息絶えるはずだった。しかし、彼は時空を超え、千年後の香港へとタイムスリップした!
そこで彼は、かつての戦友であり「半仙人」の葛洪と再会するが、勝利後も世界は平和を享受していなかった。人間界の急速な発展は、魔物の永遠の脅威をかつてないほど増殖させていたのだ。
道教の魔法と高度なテクノロジーが共存するこの新たな世界で、鍾馗は「特災対策局」に所属する精鋭の現代魔物退治戦士たちと手を組み、再び剣を手に戦場へと赴く。

鍾 馗

唐初の武進士。千年に一人とも言われ、天下に二つとない「克邪(こくじゃ)」の命格を有する。奸人の謀(はかりごと)に陥れられ憤鬱のうちに身罷ったが、魂魄のエネルギーが極めて強かったため、天の勅命により陽の世へと送り還され、「七星法剣(しちせいほうけん)」を授けられ、「斬魔真君(ざんましんくん)」に任ぜられた。専ら妖を伏し悪を鎮める、伝説上最強の滅魔者である。
生前の鍾馗は常に独り行(ゆ)く一匹狼であったが、斬魔の使命を担うに至って半仙・葛洪と相識り、人間(じんかん)の安危のため肩を並べて戦い、唯一無二の知己となった。
彼は神器「七星法剣」を使いこなせる世にただ一人。剣のひと振りで、人界・魔界いずれにある妖邪の躯体をも瞬時に滅し去る、比類なき斬魔兵器である。さらに鍾馗は手懐けた「五鬼(ごき)」を従え、各々が異能を有し、自在に使役して戦を助けさせる。
鍾馗は葛洪と共に長安の都で「万魔の后(きさき)」九煞と死闘を繰り広げ、渾身の最後の一撃を放ったのち力尽き、魔界の深淵へ沈み消え去る寸前――最後の刹那、突如生じた次元の裂け目に呑まれ、別の時空へと飛ばされる。気がつくと、そこは千年後の――香港であった……
葛 洪

外号は「抱朴子(ほうぼくし)」。東晋時代の天才道術士で、千七百年余を修めし半人半仙の身。「天道級」と称される法力と道術知識を有する。
唐代に鍾馗と相識り、妖を斬り魔を祓う最強コンビを成すと同時に、互いに心を許す無二の友となった。
九煞との一戦ののちもなお修行を続け、最大の試練たる「雷劫(らいごう)」をも乗り越えたが――なぜか肉体を離れ仙界へ昇ることが叶わず、不老不死のまま人界に留まり続けることに。そうして千年余を過ごし、心は虚しさに満たされていった。
二十世紀半ばに至り、特異災害対策局によって発見・接触された葛洪は、特別顧問として迎えられ、対妖魔専用の戦装「渡魔兵装」の開発に協力。特災局の戦闘技術部門における総司令格・チーフエンジニアである。
葛洪の道法は卓絶しているが、その力は天道に背かぬよう「直接の殺傷」には用いられぬ。しかしながら、各種の強力な補助道術を駆使するだけで、共に戦う斬魔士の戦力・勝算を一倍(二倍)以上にも引き上げてしまう。
九 煞

元の名を「九善(きゅうぜん)」といい、太古の祥瑞の神鳥であった。人界に憧れて女身に化生し、人間の男と相愛になるも、弄ばれた末に棄てられる。これに激しく恨み、人類全てに復讐すると誓い、人の生み出す悪念を専ら喰らって強大なる霊力を肥らせ、ついに天下最凶最邪――「万魔の后(ばんまのきさき)」九煞へと成り果てる。
盛唐の世、国力は強盛にして万邦来朝す。人間(じんかん)の交流は頻繁となり、人類の悪念もまた飛躍的に増大した。九煞の力は前例を見ぬほど巨大に膨れ上がり、千万を数える妖魔を率いて首都・長安を陥落させ、人界を魔域と化さんと企てる。
天諭を奉じた「斬魔真君」鍾馗は半仙・葛洪と手を組み、ついに九煞を打ち破る。「七星法剣」の一閃が彼女の元神(げんしん)を粉々に打ち砕き、無数の微塵の如き欠片へと変えた――しかしその欠片は滅びず、なお潜み続け、機を窺っては人類に感染し、再び凝集(ぎょうしゅう)せんとする。かくして千年の歳月が流れた。
現代に至り、科学技術と通信網(ネット)の進化により、九煞の元神の欠片は新たな「凝集の場」を得るに至った。人界にもたらす災いはますます熾烈となり、その本体ですらも――復活・再構(リコンストラクション)の契機を掴みつつある……
